2016 年 64 巻 10 号 p. 484-487
遷移金属触媒反応の発展に伴い,それまで困難であった合成が容易となり,多くの有用化合物が産み出されてきた。しかしながら,これらの工程ではしばしば多量の希少金属が必要であり,製品中への混入や資源枯渇などの問題がある。もし,使用する金属量を極限まで減量できれば,これらの問題を解決するための一つの答えとなり得る。本稿では,錯体やナノ粒子のパラジウム触媒を用いた炭素-炭素結合形成反応において,金属使用量の低減を目指した,高効率分子変換触媒システムの設計・開発について紹介する。