2016 年 64 巻 6 号 p. 292-295
群馬県には農産物でも工業製品でも全国上位に位置づけられるものが少なくないが,なかでもこんにゃくは,そのほとんどが群馬県で生産されているといっても過言でない。その主成分であるグルコマンナンは,主にグルコースとそのジアステレオマー*1であるマンノースからなっている。両者がβ-(1→4)結合して主鎖を形成し,一部β-(1→3)結合やβ-(1→6)結合による枝分かれ構造を有する。そこへ水酸化カルシウムなどを添加することで,本文に述べるようなメカニズムで凝固する。カロリーの観点からは栄養価はなく,弱酸性~中性の食品が多い中で珍しく塩基性で,食感を楽しむ食品であることなど,世界的に見てもユニークな食品といえる。製造方法としては,コンニャク芋(生芋)からの工程と,精粉からの製造工程とがあり,学校や一般家庭でも同様の方法で作ることができる。こんにゃくはその試作やpHによる影響などを通じて,身近な教材としても多くの可能性を秘めている。