化学と教育
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シリーズ:教科書から一歩進んだ身近な製品の化学 ―カラダの化学―
重力センサーとしての骨
須田 立雄
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2017 年 65 巻 5 号 p. 250-251

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抄録

骨は一見無機物の塊のように見える硬い組織であるが,骨組織の中は細胞で溢れた生き生きとした組織である。また,動物の骨は無機物が多いために,化石として生物の進化のプロセスを我々に教えてくれる貴重な遺産でもある。最初の生命は地球表面の噴火口近くで誕生し,海水中で進化し,やがて陸地へ移住するようになった。地球上で最も進化した動物は脊椎動物であるが,脊椎動物は脊椎(椎体),つまり骨組織をもつことを最大の特徴としている。骨組織を顕微鏡で見ると,外力に耐え得るように設計された見事な微細構造を保っている。本稿では,1Gの重力下で進化した脊椎動物の骨組織の微細な構造と重力センサーとしての骨の機能を紹介する。

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© 2017 公益社団法人 日本化学会
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