化学と教育
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講座:世の中を変えた反応・材料・理論
導電性高分子研究の最前線
—ポリチオフェン系導電性高分子の現在地—
下村 武史
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2019 年 67 巻 2 号 p. 86-89

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抄録

白川英樹博士らによるポリアセチレンの導電性発現の報告以来,導電性高分子は盛んに研究開発されてきた。本稿では,特に注目度の高いポリチオフェン系の導電性高分子であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリ(3-アルキルチオフェン)の特徴について紹介する。双方とも高分子の高次構造がその電気伝導を大きく作用することが明らかとなってきたため,その高次構造と導電率の関係について注目してみる。また,これらの導電性高分子は帯電防止膜や固体電解コンデンサ,有機ELや有機太陽電池のホール輸送層など幅広く利用され,一部は商業的にも成功を収めている。本稿では,特にキャリヤの輸送性能の評価にも欠かせない高分子トランジスタと最近大きな注目を集めている高分子熱電変換について紹介する。

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© 2019 公益社団法人 日本化学会
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