2019 年 67 巻 5 号 p. 224-227
国際単位系(SI)においてキログラムだけが人工物に頼る最後の基本単位として残っていたが,近年,国際キログラム原器の質量安定性を超える高い精度でアボガドロ定数やプランク定数などを測定することが可能になり,キログラムの定義が130年ぶりに改定されることになった。それを可能にしたのが,キッブルバランス法とX線結晶密度法による基礎物理定数の精密計測技術である。今回の定義改定ではキログラム,アンペア,ケルビン,モルの定義にそれぞれプランク定数,電気素量,ボルツマン定数,アボガドロ定数が用いられることになり,これによってすべてのSI基本単位は基礎物理定数などの普遍的な定数から定義される理想的な単位系へと進化することになった。本稿では特に化学と関係の深いキログラムとモルを中心にそれらの新しい定義について述べる。