バネは人類が太古の昔から使用してきた機械要素部品である。まず,バネという部品の特徴を明らかにし,主なバネの種類と用途を示す。次に,人類の産業発展とバネの関わりを俯瞰し,最新のバネ材料およびバネ製造技術について述べる。最後に,今後の日本におけるバネ技術の課題について触れる。
スパークプラグは自動車のガソリンエンジンに組付けられ,放電によって空気/ガソリン混合気に点火する重要な役割を担っており,一見単純そうに思われるかもしれないが,実は非常に多くの技術が詰め込まれている。本稿では,スパークプラグ構成パーツの1つである絶縁体の開発の歴史,材料選定,組成開発等について解説する。
永久磁石は,自動車,家電など多くの用途で使われているキーマテリアルの1つであり,電気自動車の普及拡大などにともなってますますその重要性は高まっている。本稿で材料開発の歴史や現状の取り組みなど,工業材料としての永久磁石について解説する。
エレクトロニクス機器の中で電子回路を構成する影の主役,プリント配線板の材料および製造工程には各種の化学材料や化学プロセスが使用されている。金属,無機材料,合成樹脂の組合せからなる原材料から,化学反応を用いた各種表面処理まで,化学材料と化学プロセスを中心に解説する。
計測はあらゆる通商,産業,科学の基盤である。計測の同等性を時代,地域によらず確保するためには単位の基準が不変であることが不可欠である。単位はかつて人間の体の部位にちなんだものを定義として,石や金属を使って形作られた。やがて計測精度への要求と科学技術の進歩に伴い,自然界の法則を定義にするなどの見直しが進んできた。2018年11月に開催された国際度量衡総会において,国際単位系(SI)の基本7単位のうち,4単位を改定することが決議された。そして2019年5月20日をもって定義改定が実施された。本稿では単位および単位系について基本と全体像を概説する。新旧の定義を対比し,その意図と利点,および改定がもたらす将来像について述べる。
国際単位系(SI)においてキログラムだけが人工物に頼る最後の基本単位として残っていたが,近年,国際キログラム原器の質量安定性を超える高い精度でアボガドロ定数やプランク定数などを測定することが可能になり,キログラムの定義が130年ぶりに改定されることになった。それを可能にしたのが,キッブルバランス法とX線結晶密度法による基礎物理定数の精密計測技術である。今回の定義改定ではキログラム,アンペア,ケルビン,モルの定義にそれぞれプランク定数,電気素量,ボルツマン定数,アボガドロ定数が用いられることになり,これによってすべてのSI基本単位は基礎物理定数などの普遍的な定数から定義される理想的な単位系へと進化することになった。本稿では特に化学と関係の深いキログラムとモルを中心にそれらの新しい定義について述べる。
大学におけるスイーツ学は,単に技能の習得に留まらず科学技術,食品加工,製品開発,歴史や文化,デザインや色彩,経営,マーケティング,ホスピタリティーなど多様なジャンルを学ぶ体系が存在する。こうした異種の学術が関連し,科学的なコンセプトのもと,新しいスイーツを生み出すことを目指している。ここではヘルシー志向をめざす最新のスイーツ情報を,歴史的な物語から繋がる事例を交えて紹介する。