2019 年 67 巻 8 号 p. 346-349
音楽と人の心の関係は音楽心理学として研究が進んでいる。しかし,音(可聴音)と物質の分子レベルでの関わりはほとんど研究されていない。当研究グループは,小さな色素分子が集合化して形成するナノスケールのファイバーが,音楽の音によって生じる溶液の流れに応答して,動的な整列現象を与えることを見出した。化学と音学の異色なコラボレーションによって,これまでに全く前例のない独創的な研究が展開されており,本稿では,音で整列するナノファイバーに関する著者らのこれまでの研究を紹介する。