化学と教育
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70 巻, 12 号
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化学教育 徒然草
ヘッドライン 生命に挑む化学
  • 豊田 太郎
    2022 年 70 巻 12 号 p. 578-581
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2023/12/01
    解説誌・一般情報誌 フリー

    高等学校の理科の教科書に登場する「トラウベの人工細胞」—結晶粒から成長する無機化合物の半透膜—に代表される人工細胞。その定義は,現存の細胞がもつ“生命らしい機能”を一部でも有している人工の化学システムである。境界をもち,外部と物質やエネルギーをやりとりでき,境界および内部では化学反応が進行するという構造上の特徴があり,近年,様々な機能をもつ人工細胞が報告されるようになった。本稿では,細胞により近い人工細胞の境界膜のつくり方から機能創成まで,分子集合体の化学の観点から解説する。

  • 松浦 和則
    2022 年 70 巻 12 号 p. 582-585
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2023/12/01
    解説誌・一般情報誌 フリー

    近年,天然ウイルスのタンパク質の殻(キャプシド)を模倣して,ナノカプセルを人工的に構築する研究が注目されている。筆者らは,トマトブッシースタントウイルスの内部骨格の形成に関与するβ-Annulusペプチドを化学合成し,50 nm程度の人工ウイルスキャプシドを構築することに成功した。この人工ウイルスキャプシドの内部には核酸やタンパク質を内包することができ,外部表面にタンパク質や脂質二分子膜(エンベロープ)を修飾した機能性ナノカプセルの創製にも成功した。

  • 石井 さつき, 西山 晃平, 角 五彰
    2022 年 70 巻 12 号 p. 586-589
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2023/12/01
    解説誌・一般情報誌 フリー

    鳥や魚,アリやバクテリアなどの生き物は,時として整然とした集合体(=群れ)を作りだす。これらの自然界にみられる群れの中には,司令塔としての役割を果たすリーダー的な個体は存在せず,隣り合う個体から受ける情報(相互作用)のみに基づいて自在にその形態を変化させることができる。近年,このような自然界の群れの持つ特性に注目し,“集団で機能する機械的なシステム(群ロボット)”の研究がロボット工学の分野で関心を集めている。本稿では,当研究グループが開発した分子群ロボットの概要を解説するとともに,今後に期待される分子群ロボットの応用について述べる。

実験の広場
ビギナーのための実験マニュアル
化学クラブただ今実験中!
新・講座:物質のさまざまな状態Part 2
  • —その状態と作製法—
    瀬川 浩代
    2022 年 70 巻 12 号 p. 594-597
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2023/12/01
    解説誌・一般情報誌 フリー

    ガラスはコップや窓ガラス,パソコンやスマートフォンの画面など非常に身近に存在する。これらは固体状態であるが,液体状態が凍結した状態であり,融点(凝固点)のないアモルファス状態である。一般的には原料粉末を高温で融かした融液を急冷してガラスは得られる。それ以外にも液体から合成することも可能である。ガラス状態について概説するとともに,近年著者が取り組んでいるガラス中に窒素を取り入れた酸窒化ガラスについても紹介する。

  • —非周期秩序構造と物性—
    渡辺 真仁
    2022 年 70 巻 12 号 p. 598-603
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2023/12/01
    解説誌・一般情報誌 フリー

    結晶でもアモルファスでもない第3の固体として準結晶が発見され約40年が経つ。非周期秩序構造をもつ準結晶は結晶の定義そのものの変更をもたらした。準結晶の物性はこれまでベールに包まれていたが,近年大きな進展がみられている。本稿では準結晶の構造と近年明らかにされつつある物性を解説し,その面白さに迫る。

  • —温度・圧力による密度制御—
    渡邉 賢
    2022 年 70 巻 12 号 p. 604-607
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2023/12/01
    解説誌・一般情報誌 フリー

    超臨界流体は,固体,液体,気体という物質の三態に加えた4つめの状態である。すなわち,気体と液体が共存する状態(飽和状態)が存在する温度,圧力条件には限界点(これを臨界点と呼ぶ)があり,それを超えると気体と液体を区別する明確な境界面が存在しなくなり,その状態を超臨界状態と称する。二酸化炭素や水といった地球上のありふれた物質の性質を大きく制御できる技術として,天然物に含まれる高機能成分の分離や炭素循環社会に向けた資源変換溶媒としてなど,グリーン技術として注目されている。

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