日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
血管炎が関与した若年SLE患者に発症した大動脈解離の1例
瀬尾 浩之平居 秀和佐々木 康之末廣 茂文
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キーワード: SLE, 大動脈解離, 血管炎
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 21 巻 1 号 p. 33-36

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抄録
30歳,女性.16歳時にSystemic lupus erythematosus(SLE)と診断され,以後ステロイド加療をされていた.突然の前胸部痛を主訴に当院を受診したが,2度の心膜炎の既往を有しており,心膜炎再発と診断され経過観察となった.しかし,その後も症状が持続したため8日後に造影CT検査を施行したところ,Stanford A型急性大動脈解離と判明し緊急手術となった.手術は選択的脳灌流下に上行弓部大動脈人工血管置換術を行い,将来の残存解離腔拡大による二期的手術を考慮しelephant trunk法を同時に施行した.術後は著変なく経過し,術後30日目に退院となった.病理組織所見では大動脈壁に動脈硬化所見はみられず,血管炎の所見を認めた.若年SLE患者に発症した大動脈解離は稀であり,とくに血管炎の関与例はこれまで2例の報告があるのみで,極めて稀と考えられた.
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