人がにおいを感じる始まりは,鼻にあるにおいを感じる部分(嗅覚受容体)とにおいのもととなる物質(におい分子)との出会いである。では,においのもととはなにか。それは,炭素原子と水素原子から分子の骨組み(化学構造)が作られている有機分子である。この化学構造の違いを人は嗅覚受容体でとらえ,それがにおいの違いの認識となっている。におい分子を構成する炭素原子の数は15個ぐらいまでである。この数の炭素原子から様々な化学構造を有するにおい分子が作られる。その結果,多様なにおいを有するにおい分子が生まれることになる。なお,アンモニアのようなにおいを有する無機化合物も存在するが,ここでは有機化合物に絞って解説する。