化学と教育
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71 巻, 3 号
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化学教育 徒然草
ヘッドライン 香りの化学
  • 長谷川 登志夫
    2023 年 71 巻 3 号 p. 86-89
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/01
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    人がにおいを感じる始まりは,鼻にあるにおいを感じる部分(嗅覚受容体)とにおいのもととなる物質(におい分子)との出会いである。では,においのもととはなにか。それは,炭素原子と水素原子から分子の骨組み(化学構造)が作られている有機分子である。この化学構造の違いを人は嗅覚受容体でとらえ,それがにおいの違いの認識となっている。におい分子を構成する炭素原子の数は15個ぐらいまでである。この数の炭素原子から様々な化学構造を有するにおい分子が作られる。その結果,多様なにおいを有するにおい分子が生まれることになる。なお,アンモニアのようなにおいを有する無機化合物も存在するが,ここでは有機化合物に絞って解説する。

  • 田中 福代
    2023 年 71 巻 3 号 p. 90-93
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/01
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    香りは私たちが果物をおいしい,食べたいと思う心の動きに大きな影響を与える重要な要素である。代表的な果物であるリンゴとモモについて,香気成分を網羅的に解析した分析データを中心に,官能評価,水分の動き,硬度などを合わせて解析した事例を紹介する。

  • 都甲 潔
    2023 年 71 巻 3 号 p. 94-97
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/01
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    五感のうち,味覚と嗅覚を評価する機器やセンサの開発は遅れていた。これらは化学物質を受容し,認識する感覚であるため,受容部に用いる材料,人の感じる味と匂い(臭い,香り)の出力方法,十分な感度の実現等が研究開発課題であったからである。その状況も近年のナノマテリアルやAI(人工知能)の発達でかなり改善されてきた。味覚センサはAIを用いなくて済むため,既に実用化され全世界で使われている。匂いセンサも近年のAIの発達に連動した著しい進展を示している。

  • 奥村 太知, 上田 実
    2023 年 71 巻 3 号 p. 98-101
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/01
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    植物は人類の生活に欠かすことのできない多くの有用物質を生産する。植物の香気成分もそのひとつである。植物が生産する膨大な数の香気成分は,香料や香水などとして利用され,我々の生活を豊かにしてくれる。また香気成分は,植物—動物,植物—植物,植物—昆虫などの生物間コミュニケーションの「言語」としても用いられている。しかし,その生合成や植物における役割など,未だ多くの謎が残っている。本稿では,植物の香気成分に関する様々な話題を紹介する。

実験の広場
ビギナーのための実験マニュアル
科学賞の受賞をたたえて
新・講座:金属と歴史
  • 井澤 英二
    2023 年 71 巻 3 号 p. 106-109
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/01
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    人類の歴史は,先史時代ともよばれる石器時代を経て金属器時代へと変化した。農業を主とする生活のなかで金属の利用が始まり,金石併用時代を経て,金属を使う文明が成立する。文明は銅を主材料とする青銅器時代から,私たちの時代である鉄器時代へと進んだ。こうした金属利用の歴史の中で,古代の人類がどのように銅を製錬するようになったかを紹介する。また,日本列島における銅生産の始まりについても述べる。

  • 坂田 政民
    2023 年 71 巻 3 号 p. 110-113
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/01
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    亜鉛は鉄とのイオン化傾向の差を利用して鋼材の腐食防止に幅広く用いられる。また亜鉛は融点が低く,溶融状態で流動性が良いためダイカスト材料として用いられる。亜鉛の乾式製錬では亜鉛の揮発性を利用した製錬が行われる。湿式製錬では銅,カドミウム等とのイオン化傾向の差を利用した不純物除去や,亜鉛がその大きな水素過電圧のため競合する水素ガス発生反応を抑えることを利用して亜鉛電解採取が行われる。

  • 竹田 修
    2023 年 71 巻 3 号 p. 114-117
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/01
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    チタンは,資源が豊富で,高強度であり,耐食性も高く,生体適合性も高い素晴らしい金属材料である。しかし,製造(製錬)に多量のエネルギーと長い時間を要し,製造効率が低いため,社会に十分に普及していない。その原因を理解し,チタン製錬の技術開発に興味をもって頂くことを目指して,本稿では,チタンの資源と製錬法の歴史,現行製造法について解説する。

実践報告
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