2024 年 72 巻 4 号 p. 160-163
高校化学において「Tyndall(チンダル)現象」を学ぶ。コロイドや高分子など「大きな溶質」の溶液に光を通すと溶質により光が「散乱」されて光路が見えるという解説がされる。それだけのことをなぜ取り扱うのか? それはとりもなおさず,Tyndall現象は光散乱現象の一種であり,光散乱の理解が高専や大学で学ぶコロイドあるいは高分子科学に必須であるからであろう。本稿では光散乱現象を概説し,特に,コロイドや高分子の稀薄溶液の光散乱測定により,溶質の重量平均分子量Mwや平均二乗回転半径〈S2〉といった溶質の大きさに関わる物理量や,溶質間相互作用を反映する第2ビリアル係数A2,溶質の形を反映する物理量である散乱関数を決定できることを紹介する。