日本東洋医学雑誌
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臨床報告
気うつを伴った凍瘡に対する茯苓飲合半夏厚朴湯および半夏厚朴湯の応用
関矢 信康笠原 裕司地野 充時並木 隆雄平崎 能郎来村 昌樹小川 恵子橋本 すみれ大野 賢二寺澤 捷年
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2009 年 60 巻 4 号 p. 443-447

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抄録

茯苓飲合半夏厚朴湯あるいは半夏厚朴湯の奏効した凍瘡の4症例を経験した。4例に共通した他覚所見として舌の腫大,臍上悸,腹部の鼓音が認められた。さらに触診上,手関節および足関節より末梢では体幹から遠位であるほど体表温度の低下を認めた。4症例には,いずれも著明な気うつおよび水毒の症候があり,そのうち茯苓飲合半夏厚朴湯を投与した2症例においては強い気虚の状が認められた。いずれの症例においても効果の発現が速やかであった。通常の西洋医学的あるいは漢方医学的治療に応じない凍瘡に対して,茯苓飲合半夏厚朴湯および半夏厚朴湯は試用する価値のある処方と考えられた。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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