茯苓飲合半夏厚朴湯あるいは半夏厚朴湯の奏効した凍瘡の4症例を経験した。4例に共通した他覚所見として舌の腫大,臍上悸,腹部の鼓音が認められた。さらに触診上,手関節および足関節より末梢では体幹から遠位であるほど体表温度の低下を認めた。4症例には,いずれも著明な気うつおよび水毒の症候があり,そのうち茯苓飲合半夏厚朴湯を投与した2症例においては強い気虚の状が認められた。いずれの症例においても効果の発現が速やかであった。通常の西洋医学的あるいは漢方医学的治療に応じない凍瘡に対して,茯苓飲合半夏厚朴湯および半夏厚朴湯は試用する価値のある処方と考えられた。