日本東洋医学雑誌
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臨床報告
慢性咳嗽に防已黄耆湯加麻黄が有効であった4例
小川 恵子関矢 信康笠原 裕司地野 充時来村 昌紀木俣 有美子奥見 裕邦大野 賢二並木 隆雄秋葉 哲生寺澤 捷年
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2010 年 61 巻 3 号 p. 337-344

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抄録

防已黄耆湯は,『金匱要略』を原典とする方剤で,方後に「喘する者には麻黄半両を加う」と記されている。我々は,風湿あるいは風水と考えられる慢性咳嗽に対して,防已黄耆湯加麻黄を投与し,奏効した4症例を経験した。これらの症例では,身重く感じる,汗をかきやすい,身体が冷えやすい,という自覚症状と,色白で,右寸口の脈が弱いという他覚所見が共通していた。また,全例で,咳嗽のみならず,随伴症状の改善も認められた。本症例群の検討により,風湿・風水の病態を伴う慢性咳嗽に,防已黄耆湯加麻黄が有効である可能性が示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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