日本東洋医学雑誌
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臨床報告
黄耆が奏功した慢性腎不全の4症例
長坂 和彦福田 秀彦渡辺 哲郎永田 豊
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キーワード: 慢性腎不全, 漢方薬, 黄耆
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2012 年 63 巻 2 号 p. 98-102

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抄録

漢方薬はこれまでも腎疾患に応用されてきた。漢方薬の大黄や温脾湯には,透析導入までの期間を延ばす働きがあることが知られている。しかし,その効果は1/Cr の傾きを改善するにとどまり,Cr 自体を改善するわけではない。今回,西洋薬が無効であった慢性腎不全患者に漢方薬の黄耆が奏功した4症例を報告する。4例ともCr 値は明らかに改善し,透析導入までの期間が延長された。このうち2例は4年以上にわたり安定的に推移している。4例とも副作用は認めず,また治療前後で血清リン,カリウム,尿酸値に変化はなかった。黄耆は慢性腎不全の有力な治療薬となりうる。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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