日本東洋医学雑誌
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臨床報告
入院治療で附子・烏頭煎剤が奏功した小児2症例
矢野 博美田原 英一土倉 潤一郎岩永 淳犬塚 央久保田 正樹貝沼 茂三郎木村 豪雄栗山 一道三潴 忠道
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キーワード: 小児, 附子, 烏頭,
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2013 年 64 巻 5 号 p. 282-288

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抄録

入院治療で附子や烏頭を含む方剤が奏功した小児の2症例を報告する。【症例1】13歳女児。アトピー性皮膚炎。ステロイド外用中止後に急激に増悪した。風呂で温まると瘙痒感が軽減するため寒があると考えて茯苓四逆湯(附子1g/日)1/2回量を服用したところ,翌朝全身の皮膚が剥離し健常な皮膚が現れた。茯苓四逆湯(附子1g/日)を毎食前に併用したところ皮膚炎は急速に改善した。【症例2】12歳女児。起立性調節障害。発症時は冷えを自覚し,冬からは倦怠感のために朝起きられなくなり不登校となった。倦怠感が強く,渋脈や足首が冷たいことから寒が強い状態と考え,赤丸料(烏頭2g)を開始した。倦怠感は軽減し,起きられるようになって朝食が摂れるようになり,院内学級に通うことが出来た。難治性アトピー性皮膚炎や強い倦怠感を伴う場合には小児でも強い虚寒証が存在し,附子や烏頭含有方剤が必要な場合もありうるが,中毒には注意を要する。

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© 2013 一般社団法人 日本東洋医学会
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