2018 年 69 巻 1 号 p. 57-66
三焦は漢方医学における六腑の構成要素のひとつである。このものと体内の如何なる臓器が関連するかについての論考は『井見集』に初出し,その後大友一夫により臓側腹膜(腸間膜)と対応するとの学説が呈示されている。 最近,腸間膜に関する総説が The Lancet 誌に公表されたが,これには腸間膜を一つの臓器として認識すべきことが提案されている。大友学説は1980年に公表されたものであるが,本稿は最新の解剖学的知見を基にその学説の妥当性を論じる事を意図した。