日本東洋医学雑誌
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臨床報告
インフルエンザ患者に濃厚接触した妊婦への葛根湯の予防投与について
田中 秀則
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2018 年 69 巻 3 号 p. 291-294

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抄録

(目的)
妊婦は,インフルエンザ患者と濃厚接触した場合には,抗インフルエンザ薬の予防投与が勧められているが,服用を避けたい妊婦も存在する。本研究では,妊婦が,インフルエンザに罹患した家族に,濃厚接触した場合,葛根湯内服で,発症を予防できるか否かについて,調べることを目的とした。
(方法)
対象は,家族がインフルエンザに罹患した5症例である。投与時,妊娠週数は,A:妊娠5週,B:7週,C:8週,D:11週,および,E:31週であった。患者の同意を得て,葛根湯エキス7.5g,5日間を投与した。
(結果)
B,C,D,E 症例では,発熱症状などは,認められなかった。A 症例は,投与後3週間後に発熱を認めたが,インフルエンザ検査では,陰性であった。すべての症例で,妊娠経過,および,新生児に異常は認められなかった。
(結論)
葛根湯の内服によりインフルエンザの発症抑制が示唆された。

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© 2018 一般社団法人 日本東洋医学会
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