日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
胃食道逆流症による咽喉頭違和感に清熱補血湯が有効であった一例
河尻 澄宏木村 容子伊藤 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 69 巻 3 号 p. 295-299

詳細
抄録

<緒言>胃食道逆流症(GERD)は胃食道症状に加え,咽喉頭違和感などの食道外症状を起こすことがある。今回,GERD による咽喉頭違和感に対し,清熱補血湯が有効であった症例について報告する。<症例>72歳女性。X年2月に咽喉頭のヒリヒリ感が出現し,耳鼻咽喉科では異常を指摘されず,上部消化管内視鏡検査で逆流性食道炎を認め,ラベプラゾールで症状の改善を認めた。同年9月に再燃し,11月に当院受診。皮膚・目の乾燥症状,浅い眠り,足の冷え等の血虚に伴う症状を多く認めたため,清熱補血湯を処方した。ヒリヒリ感は速やかに改善し,2ヵ月で消失した。また,皮膚や目の乾燥症状および不眠も改善した。<考察>清熱補血湯は血虚,燥熱による口舌の潰瘍・びらんなど口腔局所の炎症を治す方剤として理解されてきた。しかし,今回の症例を通じて,本方剤の作用が口腔局所だけでなく GERD による咽喉頭症状にも及んでいる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top