日本東洋医学雑誌
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臨床報告
線維筋痛症に漢方治療が奏効した男性2例
村井 政史堀 雄森 康明古明地 克英八重樫 稔今井 純生大塚 吉則本間 行彦
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キーワード: 線維筋痛症, 瘀血, 煎じ薬
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2019 年 70 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

症例1は72歳男性で,重たいものを持ち上げるなどの重労働を約半年間行い,全身に痛みを自覚するようになった。肩の凝りと痛みが著明なことから葛根湯を,瘀血が存在すると考え桂枝茯苓丸料を合方して治療を開始した。 尿の出が悪化し麻黄の副作用と考え減量し,治療効果を高める目的で蒼朮と附子を加味したところ,体の痛みはほぼ消失した。
症例2は53歳男性で,頚椎捻挫受傷や外科的手術歴があり,全身に痛みを自覚するようになった。左右の胸脇苦満が著明なことから大柴胡湯を,瘀血が存在すると考え桂枝茯苓丸料を合方して治療を開始した。便が出過ぎて日常生活に支障を来すため大黄を減量し,肩凝りが著明なことから葛根を加味したところ,体の痛みは消失した。
線維筋痛症は治療に難渋することが多いが,煎じ薬ならではのさじ加減により,副作用を軽減し治療効果を発揮させることができた。

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© 2019 一般社団法人 日本東洋医学会
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