日本東洋医学雑誌
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臨床報告
起立性調節障害と思われる10症例の漢方的病態とその治療
山崎 正寿
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2021 年 72 巻 2 号 p. 119-123

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抄録

起立性調節障害は今日思春期の疾患としてまた社会的問題として,その治療が注目されている。今回小児心理学会の診断基準による起立性調節障害と思われる10症例に,漢方医学的診断と治療を実施して,凡てで改善をみることができた。この10例を分析したところ,起立性調節障害を引き起こす背景として,血証,水毒,心身症的要因などが見いだされ,血証には加味逍遙散,温経湯,当帰芍薬散を処方,水毒には五苓散合九味檳榔湯,苓桂朮甘湯を処方,心身症的要因には柴胡桂枝湯,柴朴湯を処方した。現代医学的治療では治療効果が不十分であり,漢方医学的診断と治療が大変有効であると考えられる。

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