日本東洋医学雑誌
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陰陽虚実の意義
山田 光胤
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1982 年 33 巻 3 号 p. 105-109

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抄録

漢方・古方における, 陰陽虚実の概念の現代的な解説は, 湯本求真著『皇漢医学』と, 大塚敬節, 矢数道明共著 『漢方診療医典』 に求められる。これら先人の説の, さらにその典拠を求めたところ, 多紀元堅著 『傷寒論述義』 に, それのあることを発見した。それらによると, 虚実は体気の欠損, 充満の別であり, 陰陽は寒熱という病情の別であると集約される。また, 体気とは, 現代語におきかえれば, 体力と考えられる。これらの解釈が, 果して妥当かどうかを, 実際臨床の場面に当てはめてみた。
症例を皮膚疾患患者にとり, 以上の解釈にもとずく治療原則を応用したところ, 複雑, 難治の患者が好転した。この事実によって, 古方漢方の陰陽虚実の解釈が, 臨床上実用的であることを実証したと考える。

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