我々は諸治療によっても難治性であった尋常性乾癬患者に対し, 「生態学的栄養学に基づく食事療法」を始め, 絶食療法, 漢方薬, 鍼灸等の東洋医学的治療, 時には心理療法等を併用して, かなり病状が好転した諸症例を経験したので, その極く大要を報告する。
昭和49年より昭和55年までに当内科初診の本症例を11例経験した。男性7例, 女性4例。そのうち, 7例に入院治療を行い, この7例中6例に絶食療法を施行した。5例に漢方薬温清飲1日5g, 2例には八味丸か十味敗毒湯等を1日5g (各エキス剤) を投与し, 症例により, 転方, または他の方剤を併用した。
入院治療例は非入院例よりも, かなり病状好転度が明らかで, 中でも, 絶食療法を2回以上行った5例は近接成績において著明好転したが, しかし遠隔成績ではほとんどが好転になっている。また長期入院例のほうが, 病状好転が明らかであり, 結果的には重症例のほうが好転度が明らかであった。
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