1994 年 44 巻 4 号 p. 509-516
産地, 基原等の異なる数種の当帰 (7種) および朮 (蒼朮5種, 白朮2種) を用いて, マクロフアージの免疫複合体結合能に対する作用について比較検討を行った。当帰あるいは朮によるマクロファージの免疫複合体結合能の増加作用は, 当帰単独では奈良県産および北陸産大和当帰が最も強い作用を示し, また北陸産大和当帰においては, ひげ根部よりも主根部に, より強い作用が観察された。朮においては, 安徽省の小漢蒼朮に最も強い作用が観察された。一方, 当帰と蒼朮を同時に煎じた場合の結合能増加作用は, その組み合わせによって変化することが観察され, 必ずしも単独で作用の強いものの組み合わせが, 強い作用を示すわけではなかった。これらの成績から, 複数の生薬を組み合わせた場合の変化も考慮に入れた品質評価法を確立する必要性が示唆された。