1996 年 47 巻 1 号 p. 35-41
老人性皮膚〓痒症の主な原因は皮膚の乾燥といわれている。そこで皮膚乾燥の代表的疾患である老人性乾皮症の治療を目的に, 当帰飲子の内服療法と甘草抽出エキス配合入浴剤を用いて治療を行い, その効果を皮表角層水分量測定装置を用いて表皮角層の水分を経時的に測定し, 水分保持能力を皮膚の乾燥の度合いとして表し, 未治療群と比較した。その結果, 本入浴剤を用いると早期に皮膚の乾燥は改善されるが, 中止により速やかにその効果は失われる。当帰飲子の内服では入浴剤に比べ改善が遅れて認められるが, 投薬中止や入浴剤中止の影響は受けにくいことが分かった。一方, 皮膚の乾燥改善と〓痒の軽快が必ずしも一致しないことから, 皮膚乾燥以外の要因の介在も示唆された。