日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
四君子湯加味方が奏効した慢性関節リウマチの2例
萬谷 直樹小暮 敏明嶋田 豊伊藤 隆寺澤 捷年
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 50 巻 5 号 p. 861-867

詳細
抄録

四君子湯の加味方が有効であった慢性関節リウマチ (以下RA) の2例を経験した。症例1は71歳女性。2年間西洋薬による治療を受けたが改善しなかった。桂枝二越婢一湯加苓朮附によってRAは一時軽快傾向にあったが, 皮疹や食欲不振の出現とともにRAも増悪した。食欲不振がつよいため, 衆方規矩の加味方を基本にした四君子湯加桂枝芍薬〓苡仁を開始したところ, 食欲とともにRAも改善し, 9ヵ月間の内服で寛解が得られた。症例2は52歳女性。1989年にRAを発症し, 種々のDMARDs (disease modifying anti-rheumatic drugs) で副作用をおこし, 少量のステロイドと十数種の漢方方剤の併用でも軽快しなかった。食欲不振を伴う薬物性肝障害の出現を契機に四君子湯加桂枝芍薬〓苡仁附子を開始したところ, RAに対しても一定の効果が得られた。副作用や消化器症状が出現したRA患者において, 消化器症状とともにRAの病態をも改善する可能性のある方剤として, 本方剤は重要な役割をもつと考えられた。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top