四君子湯の加味方が有効であった慢性関節リウマチ (以下RA) の2例を経験した。症例1は71歳女性。2年間西洋薬による治療を受けたが改善しなかった。桂枝二越婢一湯加苓朮附によってRAは一時軽快傾向にあったが, 皮疹や食欲不振の出現とともにRAも増悪した。食欲不振がつよいため, 衆方規矩の加味方を基本にした四君子湯加桂枝芍薬〓苡仁を開始したところ, 食欲とともにRAも改善し, 9ヵ月間の内服で寛解が得られた。症例2は52歳女性。1989年にRAを発症し, 種々のDMARDs (disease modifying anti-rheumatic drugs) で副作用をおこし, 少量のステロイドと十数種の漢方方剤の併用でも軽快しなかった。食欲不振を伴う薬物性肝障害の出現を契機に四君子湯加桂枝芍薬〓苡仁附子を開始したところ, RAに対しても一定の効果が得られた。副作用や消化器症状が出現したRA患者において, 消化器症状とともにRAの病態をも改善する可能性のある方剤として, 本方剤は重要な役割をもつと考えられた。