2002 年 53 巻 5 号 p. 477-486
日本における代替医療, ことに漢方の過去と現在について述べる。6世紀頃中国から渡来した漢方は, 明治維新頃には一時衰退したが, 1976年に漢方製剤が健康保険で採用となり, 多くの医師がこれを用いることが出来るようになった。
一般の医師が西洋薬も漢方製剤も健康保険上で用いることが出来るのは, 日本独自の特徴であり. これを臨床に活用するべきであろう。
日本は顕著に高齢化し, 医療費も高騰している。高齢者は免疫能も低下し, 多病態を抱えている。西洋薬では高齢者の個々の病態に対応させるには, 多剤が必要である。漢方製剤は免疫能も高め, 多成分系であるため同時に一剤で多くの病態を改善することが出来る。漢方製剤を用いれば, 医療費の軽減に貢献できる。この観点から, 高齢社会での漢方の価値は非常に高く評価されると思われる。