公害問題の解決過程において,訴訟は大きな役割を果たしてきた。被告や請求内容を含め,公害訴訟がどのように構成されるかは,その後の解決過程に影響を与える。したがって,それらを決定する訴状の形成過程が,研究上重要な論点となる。しかし,公害訴訟や公害問題の解決過程に関する研究では,提訴前の訴状の検討過程が研究対象とされてこなかった。
そこで本稿では,1978年に大阪市西淀川区の大気汚染被害者が提起した公害訴訟を事例として,訴状の形成過程を一次資料から明らかにする。そのことを通じて,西淀川訴訟の準備過程に今日の公害地域再生とまちづくりの運動の源流を見出しうることを述べる。