感染症学雑誌
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原著
6 種類の毒素原性大腸菌が検出された仕出し弁当を原因とする集団食中毒事例とColony-sweep PCR 法を応用した検査法について
小西 典子尾畑 浩魅下島 優香子門間 千枝甲斐 明美辻 孝雄
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2009 年 83 巻 5 号 p. 490-495

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抄録

2003 年6 月に東京都および千葉県で発生した,仕出し弁当を原因とした食中毒事例は,6 種類の毒素原性大腸菌を原因とした非常に珍しい事例であった.検査は,DHL 寒天平板上に発育した大腸菌を対象にColonysweep PCR 法でスクリーニングする方法を導入した結果,非常に効率的に検査を実施できた. 患者糞便84 検体について下痢原性大腸菌の各種病原因子をスクリーニングした結果,いずれかの毒素遺伝子が陽性となった検体は56 検体(66.7%)であった.内訳は,LT 遺伝子35 検体(41.7%),STp 遺伝子 21 検体(25.0%),STh 遺伝子11 検体(13.1%)であった.このうち11 検体では,2 種類の毒素遺伝子が陽性であった.これらの検体からETEC の分離を試みた結果,患者糞便84 検体中48 検体(57.1%)から毒素原性大腸菌(ETEC)が検出された. 1 検体から1 種類のETEC のみが検出された例では,O25 : NM(LT)が21 検体,O27 : H20(STp)が12 検体,O148 : H28(STh)が8 検体,O25 : NM(STh)およびO27 : H7(STp)が各1 検体であった.一方, 1 人の糞便から複数タイプのETEC が検出されたものが5 検体あった.その血清型および毒素型はO25 : NM (LT)&O27 : H20(STp)が3 検体,O27 : H20(STp)&O148 : H28(STh)あるいはO25 : NM(LT)&O78 :NM(STh)が各1 検体であった.

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© 2009 社団法人 日本感染症学会
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