感染症学雑誌
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原著
山形県で発生したKawasaki 型つつが虫病
大谷 勝実金子 紀子青木 敏也村田 敏夫
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2009 年 83 巻 5 号 p. 496-499

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抄録

1999 年から2006 年の間に,山形県において95 例のつつが虫病患者の発生があったが,そのうちの4 例がKawasaki 型Orientia tsutsugamushi感染によるつつが虫病であることを確認した.これら4 例とも女性で,発病日は10 月中旬から11 月初旬であった.刺し口,発疹,発熱が共通して認められた.間接蛍光抗体法による抗体価はKawasaki 型抗原に対してIgG,IgM とも各症例で上昇が認められた.IgG に比べIgM の明らかな上昇がみられた.4 例中3 例で,O. tsutsugamushiの56kDa タンパクをコードする遺伝子がnested PCR で検出された.型別PCR ではKawasaki 型の増幅産物が得られた.このうちの2 例について,nested PCR 産物のダイレクトシークエンス法により塩基配列を決定した.塩基配列はKawasaki 株(Accession number :M63383)と99.8%一致した.関東以西で主流のKawasaki 型によるつつが虫病が東北地方の山形県においても存在することが確認された.

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© 2009 社団法人 日本感染症学会
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