感染症学雑誌
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原著
大学附属病院小児科における抗菌薬適正使用支援プログラムの効果
浅野 裕一朗佐藤 晶論橋本 浩一細矢 光亮
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2022 年 96 巻 5 号 p. 186-192

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抄録

【背景】抗菌薬適正使用支援プログラム(antimicrobial stewardship program,ASP)の重要性は世界的に認知されている.小児科領域でもASPに関する報告はあるが,地方大学附属病院からの報告は少ない.

今回,我々は福島県立医科大学附属病院小児科内で独自に推進しているASPの効果について検討したので報告する.

【方法】当科における点滴静注抗菌薬投与例を対象とし,ASP推進前の2016年4月から2017年3月までの1年間と,推進後の2017年4月から2020年3月までの3年間において,各年度の抗菌薬使用密度(antimicrobial use density,AUD),緑膿菌の薬剤感受性,耐性菌の検出状況などについて後方視的に検討した.

【結果】2016年度,2017年度,2018年度および2019年度において抗菌薬静注件数は,それぞれ279件,380件,428件,350件であった.広域抗菌薬のAUDは2016年度の3.12に対し,2019年度では0.93(p<0.05)と有意に低下した.メロペネム感性緑膿菌の割合は2016年度の50%に対し,2017年度以降は80%以上(p<0.01)と改善した.2017年度以降バンコマイシン(VCM)のAUDが増加したが,VCM耐性菌は検出されなかった.

【結語】大学附属病院小児科内においても小児科医主導ASPの導入と実践は効果的である.

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© 2022 一般社団法人 日本感染症学会
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