感染症学雑誌
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虎の門病院における10年間の痰中細菌の推移
鈴木 幹三中森 祥隆蝶名林 直彦立花 昭生中田 紘一郎岡野 弘谷本 普一松岡 ひろ子
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1981 年 55 巻 11 号 p. 795-801

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抄録

1971年から1980年までの過去10年間の虎の門病院における痰中細菌の分離状況を調べ, 総検体数, 検出菌数, 検出率, 各種細菌の検出率の年次別推移を明らかにした.P.aeruginosaについては, Mucoid型, Non-Mucoid型別にも検討し, 1969, 1974, 1979年度における薬剤感受性をみた.検出菌は培地上 (+) 以上とし, 薬剤感受性についてはDisc法の判定で (++) 以上のものを感受性ありとして集計した.その結果, 次のような成績を得た.
1) 総検体数は過去10年間に約2倍の増加を示し, 細菌検出率は50%前後を示した.
2) 年次的な変動として, グラム陰性桿菌の増加, なかでも同定できないブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌, Serratiaの増加と, Klebsiellaの減少が目立つた.
3) P. aeruginosa, H.influenzaeは増加の傾向を示した.
4) P. aeruginosaではMucoid型は減少し, 薬剤感受性ではMucoid型が優れていた.

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