1982 年 56 巻 12 号 p. 1164-1172
実験的マウス感染症に対するヒト免疫グロブリン (Ig) 製剤の効果を調べた結果, 次の成績を得た.
1) Strpneumoniae NCTC 7465, Ecoli 81およびSer.mrces6ensOH942の各菌をマウス腹腔内に投与して感染を成立させ, これによる感染致死に対するIgの効果を調べたところ, いずれの感染系でも, 未処理Ig, ペプシン処理Ig, 精製F (ab') 2のすべてが, 感染致死をほぼ同程度に抑制することがわかった.
2) Igによる感染致死抑制効果は, 予め感染誘発菌でIgを吸収すると減少ないしは無くなった.この事実は感染致死抑制効果の有効成分が特異抗体であることを強く示唆している.
3) Fc部分の無いIg (F (ab') 2) を投与すると, 感染後マウス血中に出現する菌量が著明に抑制された.
4) Ig製剤で菌を処理すると, マクロファージによる菌の取り込みが促進された.この効果は, F (ab') 2でも観察された.