感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
肺炎球菌ワクチンの臨床応用に関する研究
わが国における血清型分布
福見 秀雄金子 義徳縣 俊彦高柳 満喜子吉岡 一藤田 晃三川名 林治島田 馨稲松 孝思浦山 京子谷本 普一中谷 龍王小酒井 望小栗 豊子池本 秀雄沖永 功太木村 三生夫加藤 俊一村中 清一郎上原 すゞ子寺嶋 周中村 明西村 豊山本 崇晴三上 理一郎澤木 政好播金 収橋本 博松本 慶蔵鈴木 寛原 耕平山口 恵三松瀬 真寿美喜舎場 朝和藤原 元典田辺 巌森垣 忠啓東郷 靖
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 58 巻 1 号 p. 39-53

詳細
抄録

昭和55年4月から昭和58年3月までの3年間に, 全国590例の肺炎球菌感染疾患患者より分離した肺炎球菌を型特異的抗血清を用いて型別した.
成績
1) 590の分離株は, 43のDanish nomenclatureに属し, 多い順にみると3型 (12.7%), 19F (9.3%), 23F (6.8%), 6B (5.9%), 6A (5.9%), 14 (4.9%), 11 A (4.1%), 19 A (3.7%), 9 V (3.6%), 22 F (3.1%) およびその他の型であった.
2) 全分離株のうち430株 (72.9%) が市販予定の23価肺炎球菌多糖体ワクチンに含まれるワクチン型であり, 160株 (27.1%) は非ワクチン型であった. ワクチン型の検出率は, 検体別にみると血液, 髄液, Transtracheal aspirate (TTA) などの168検体で76.2%, 喀痰・咽頭スワブの326検体で66.9%, 中耳滲出液の74検体で90.5%であった. また診断名別では, 髄膜炎・敗血症が79.1%, 呼吸器系感染症が66.8%, 中耳炎が89.3%であった.
人体観察で, ワクチン菌型6Bによる交叉免疫の知られている菌型6Aの35株を含めるとワクチンで防御される菌型の総分離株数は465株 (78.8%) となる. 検出率は検体別にみると血液, 髄液, TTAなどで83.3%, 喀疾・咽頭スワブで73.3%, 中耳滲出液では91.9%であった. さらに診断名別では髄膜炎・敗血症で87.0%, 吸器系感染症で71.9%, 中耳炎で92.0%となる. なお菌型の分布には年齢差, 地域差はないと考えられた.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top