感染症学雑誌
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臨床分離Enterobacter cloacaeのBacteriocin Typingと考察
那須 勝後藤 純後藤 陽一郎田代 隆良
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1984 年 58 巻 7 号 p. 590-595

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抄録

Entmbacter cloacadによる院内感染の発生状況やその感染経路などを明らかにするために, 本研究は行われた.
Traubらによるbacteriocin型別法 (J. Clin. Microbiol., 10: 885-889, 1982) に従って, 1982年3月から1983年7月までに大分医科大学病院において, 入院患者から分離された150株のE. cloacaeをタイピングした. そして本菌の型別成績を検討し, 本法の有用性について考察を加えた.
本法による成績は, Minitek同定システム (BBL) によるコードNo. による生物型よりも多くの種類に区分された. 供試した150株は10種のbacteriocin型に分けられ, 7型 (15.3%), 5型 (10%), 13型 (9.3%), 3型 (8.7%) などの順に型別された. 19.3%の株は型別不能 (NT) で, 21.3%は原法に記載されていない型 (UC) を示した. 型別成績の再現性は, 不定の型を示した株がみられたが, 一定の設定条件下で型別を行えぱ, 本法は病院内感染をコントロールしてゆく上に簡便でかつ有用な方法であると思われた.
E. cloacaeのbacteriocin型別成績の分布は, 年度別, 病棟別, 由来別にそれぞれ特徴がみられ, 本菌はSermtia marcescensと同じように院内感染菌として扱われるべき菌であることが考えられた.

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