感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
感染症サーベイランス検査からみたA群溶血連鎖球菌の分離動向について
森田 盛大山脇 徳美茂木 武雄庄司 キク斉藤 志保子岡村 敏弘長沼 雄峰工藤 真生
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 59 巻 9 号 p. 877-882

詳細
抄録

秋田県の1976年4月~1984年11月の感染症サーベイランス検査において, 51種類の多彩な感染症患者2,694名の咽喉ぬぐい液から564株 (20.9%) のA群溶血連鎖球菌が分離された.この内, 猩紅熱と溶連菌感染症からの分離率 (平均63.5%) が最も高率であったが, 扁桃炎や気道感染症からもかなり高率に分離された.しかし, ウイルス性発疹症や対照としたその他の疾患からの分離率は健康小児からの分離率とほぼ同程度であった.月別分離率は, 最低率の8月以後, 9月から上昇しはじめ, 12月に最も高率であった.分離菌型は12型 (27.0%) が最も多く, 次いで, 4型 (.4.4%), 6型 (6.9%) であり, これら3菌型だけで全分離株の49.1%および血清型別できた375株の73.9%を占めた.一方, T型別できない分離株が33.5%存在したことから, 今後, M型別の検討も必要と考えられた.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top