1987 年 61 巻 1 号 p. 17-21
海外旅行者下痢症患者180名より直接分離して得たEscherichia coli 821株についてHydrophobicityをSalting out法で調べ次の結果を得た.
(1) Hydrophobicity陽性で毒素産生株は137株, 毒素非産生株は20株であった.
(2) Hydrophobicity陰性で毒素産生株は29株, 毒素非産生株は635株であった.
(3) Hydrophobicity陽性でST単独産生株は54株, LT単独産生株は17株, ST-LT両産生株は66株, 毒素非産生株は20株であった.
(4) Hydrophobicity陰性でST単独産生株は21株, LT単独産生株は3株, ST-LT両産生株は5株, 毒素非産生株は635株であった.
(5) 180名中55名より毒素原性大腸菌が分離され, 得られたすべての大腸菌に対し, HydrophobicityをSalting out法でスクリーニングした場合, Sensitivity83%, Specificity97%で検出が可能であった.
以上の結果より毒素原性大腸菌検出の迅速化, 省力化にHydrophobicityをSalting out法によって調べスクリーニングする方法が有効であると考えられる.