感染症学雑誌
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ELISA法によるA群レンサ球菌C-多糖体抗体の測定に関する基礎的検討
留目 優子大国 寿士横室 公三工藤 厚工藤 忍
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1987 年 61 巻 1 号 p. 54-63

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抄録

A群レンサ球菌細胞壁から抽出したC-多糖体 (C-poly) を塩化シアヌルをcoupling agentとしてpoly-I-lysin (PLL) と結合させ (C-poly-PLL), これを抗原としてELISA法により抗Gpoly抗体の測定につき基礎的検討を行ない, 以下の結果をえた.
1.ELISA法によるA群菌感作ウサギ血清の本抗体測定での抗原至適濃度は, Well当り0.7μgであつた.またこの抗体はB, C, D, G群のレンサ球菌並びに肺炎球菌の菌体では吸収されず, A群の菌体, A群C-poly, haptenであるGlcNAcにより吸収された.このことはC-poly-PLL抗原が特異的にA群C-poly抗体と反応していることを示唆する.
2.臨床検査室より分与されたヒト血清を無作為に抽出し, その血清または急性糸球体腎炎患者血清中の本抗体の測定においても, 抗原至適濃度は0.7μgであり, 血清希釈は1: 1,000で最も高いO.D.値がえられた.また血清の非仇化はその値に影響するとは思われなかつた.
3.EHSA法による抗C-poly-IgM抗体と感作血球凝集反応との間で相関係数0.62を示し高い相関がみられたが, IgG抗体とは相関がみられなかつた.
4.ELISA法により, 急性糸球体腎炎とリウマチ熱の患者血清と健常ヒト血清中の抗体を測定すると, IgG抗体は健常ヒト血清に比べて, この2疾患で高い値を示し (p<0.01), IgM抗体では有意な差はみられなかった.

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