感染症学雑誌
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臨床材料由来Haemoaphilus influenzaeの抗生物質感受性の現状
佐伯 裕子
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1987 年 61 巻 1 号 p. 64-71

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抄録

1982年7月から1984年1月の間に各種臨床材料から分離されたH.influenzae335株とH-parainfluenzae11株を対象として, 各種薬剤感受性とβ-lactamase産生性ならびにβ-lactamase産生性とbiotypeについて検討し, 以下の成績を得た.
1.ABPC感性H.influenzae231株は全株がβ-lactamase陰性であった.ABPC耐性H.influenzae104株のうち101株はβ-lactamase陽性, 3株は陰性であつた.
2.β-lactamase産生性と各種薬剤感受性について検討したH.influenzae215株のうち, β-lactamase産生ABPC耐性H.influenzae66株はSBPC, PIPC, MZPCにも耐性であつた.セフェム系薬剤ではCPZを除きβ-lactamase産生性と感受性分布に相関性はみられず, CTX, CZX, CMXは強力な抗菌力を示した.
3.三濃度ディスク法でCMZ, CTMの感受性が廾であつたH.influenzae5株は, ABPCには耐性でCTM, CMZ, CTX, LMOX, AZTのMICが上昇していたが, β-lactamase産生は2株であった.
4.β-lactamaseは, 簡易法であるnitrocefin試験紙法, PCGを基質とするpHディスク法のいずれでも検出され, 両方法による成績は一致した.
5.β-lactamase産生ABPC耐性H.influenzaeの特定のbiotypeへの集中はみられなかつた.
6.気道由来H.parainfluenzaeH.influenzaeと同様な感受性パターンであつた.尿路由来5株はABPCに耐性でCTX, LMOX, AZTにも耐性を示したが, β-lactamase産生は2株であつた.

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