1988 年 62 巻 7 号 p. 664-668
症例は44歳の男性で, 汎血球減少の精査目的で昭和57年4月12日に当科入院となった. 各種検査により, 再生不良性貧血と診断したが, 入院時より発熱が続き, 抗生剤に不応であった. 5月には悪心, 嘔吐が出現するとともに意識レベルの低下を認めた。髄液よりクリプトコックスが検出され, Amphoter icin B (AMPH-B) と5-Fuluorocytocinを開始した. AMPH-Bは経静脈的に計2,190mg, 髄腔内に3.2mgを投与した. その結果, 髄液所見, 臨床症状とも改善し退院した. クリプトコックス髄膜炎は, しぼしば血液疾患に合併するが, 再生不良性貧血に合併したという報告は少ない. さらに, 本例のようなcom. promisedhostで救命し得た例は稀であると思われた. この要因として早期から治i療が開始されたこと, 充分量のAMPH1Bが投与されたことなどがあげられた.