感染症学雑誌
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接触鳥の腸管, 糞便よりChlamydia psittaciを分離し, さらに肺組織像を検討し得たオウム病の1例
林 嘉光松浦 徹加藤 政仁武内 俊彦
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1988 年 62 巻 7 号 p. 669-674

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抄録

症例は34歳男性.昭和61年5月上旬より39℃ の発熱が持続し近医にて投薬をうけるも改善せず, 乾性咳嗽も加わったため当科来院した. 胸部X線で右下肺野に浸潤影を認め, 同部位からの気管支肺胞洗浄液には有意な細菌は検出されず, その細胞分画では肺胞マクロファージ71%, 好中球27%, リンパ球1%を示した. 気管支肺生検所見では肺胞腔に肺胞マクロファージ, リンパ球浸潤および肺胞中隔の軽度の肥厚とII型上皮の腫大を認めた. セキセイインコの飼育歴があり, その腸管, 糞便乳剤をマウス腹腔内に接種し, マウスの脾臓乳剤をHela細胞に接種させたところ細胞内封入体が検出され, またオウム病CF抗体価の有意な上昇がみられたことからChlamydia psittaciによる肺炎と診断した.

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