感染症学雑誌
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Campylobacter fetus subspecies fetus敗血症により多彩な全身合併症を呈した一症例
野口 昌幸成井 浩司中谷 龍王蝶名林 直彦中森 祥隆中田 紘一郎杉 裕子谷本 普一
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1989 年 63 巻 12 号 p. 1338-1343

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抄録

24歳男性, 慢性アルコール中毒, 胃亜全摘術後の状態, 膵内外分泌機能低下による極度の低栄養状態の患者に生のレバー摂取により発症したと考えられる本邦第4例めのC.fetus敗血症を報告した. 肺膿瘍, 胸膜炎, 下肢静脈血栓症, 黄疸, 肝腫大, 下痢, 気胸, low T3 low T4 syndrome等多彩な合併症を呈した. 感受性のあるCM, CP, MINOの併用により治癒した.C.fetus敗血症は, 欧米では多く報告されているが, わが国では, 少なく, 日和見感染の傾向が強い点で, また食生活の多様化とともに増加する傾向があり, 適切な抗菌剤の選択と継続により, 治癒する点で, 留意すべき感染症と考え報告する.

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© 日本感染症学会
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