1990 年 64 巻 5 号 p. 564-569
百日咳の施設内流行をみた乳児院に在籍する生後6ヵ月以上36ヵ月以下の乳幼児19名をDPTワクチン接種群と未接種群に分けて百日咳コンポーネントワクチンの効果をprospectiveに検討した. 接種群9名中感染例は7名, 未接種群10名中感染例は7名で二次感染率は78%(7/9), 70%(7/10) と差は無かったが, 感染例が典型的百日咳に進展する割合は接種群14%(1/7), 未接種群86%(6/7) と接種群は有意に低率で, 14日以上の痙咳発作の有無を指標に算出したワクチンの効果は81%であった. 百日咳コンポーネントワクチンは菌の感染は阻止し得ないが典型的百日咳への進展を阻止又は軽症化し, 十分な臨床効果を現わす.