1990 年 64 巻 7 号 p. 840-846
人血清中のIa型B群溶連菌に対する型特異抗体, 特に感染防御に関連すると考えられる免疫グロブリンGの測定の簡便化と感度を上げることを目的として酵素抗体法について検討した. 抗原にはKaneand Karakawaの方法にしたがって菌体より抽出, 精製したIa型B群溶連菌の型特異抗原を用いた. 蛍光抗体法を用いた抗体測定法と比較して約4倍の感度が得られ, 測定時間の短縮, 一度に扱える検体数の増加が可能となった. 87例の妊婦において膣のIa型B群溶連菌保菌状態と血中抗体価には相関関係は見られなかった. しかしIa型B群溶連菌感染症を発症した1例については母親の分娩時の抗体価は酵素抗体法にて10倍と低く, 同人は2年後には非保菌者となっておりこの時の血中抗体価は160倍に上昇していた. 27例につき母体血と臍帯血中の抗体価を比較したところ抗体価はほど一致していた.