感染症学雑誌
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免疫グロブリン製剤の各種病原菌に対するオプソニン効果についての検討
斧 康雄馬場 ますみ大谷津 功野末 則夫上田 雄一郎芳賀 敏昭宮司 厚子西谷 肇小林 国男国井 乙彦
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1990 年 64 巻 7 号 p. 854-860

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抄録

市販免疫グロブリソ製剤 (IVIG) の各種病原菌に対するオプソニン効果を調べるために, 菌をIVIGでオプソニン化した後, その食菌過程で食細胞より放出される活性酸素の生成能をchemiluminescence (CL) 法を用いて検討した.
1) ポリエチレングリコール処理IVIGで, 各種細菌やCandida albicansをオプソニン化することによって, 好中球CL活性が有意に増強した (p<0.01).
2) Fc活性を有するIVIGのCL増強効果は, 処理法やロットがちがってもほぼ同様であった.
3) 血清の存在しない好中球CLや, 低補体血症を伴う全血CLにおいて, ペプシン処理IVIGはCL増強効果をほとんど認めなかった.
4) 血清免疫グロブリン値の著明な低値を示す重症熱傷患者においては, Fc活性を有するIVIG添加による全血CL増強効果が著明であり (p<0.05), IVIG投与の有効性が期待できる疾患であると思われた.
5) 全血CL測定は, IVIG製剤の目標菌に対するin vivoでのオプソニン効果をin vitroで評価することに利用できるかもしれない.

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