感染症学雑誌
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EIA法によるChlamydia trachomtisおよびNeisseria gonorrhoeaeのマススクリーニングのための検体郵送法の有用性
小林 淑子天野 祐次市瀬 正之松江 隆之小野川 尊斎藤 誠寺山 武松田 静治
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1991 年 65 巻 6 号 p. 703-709

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抄録

広域地域内の多数の医療施設で採取されるChlamdia tmchomtis (以下C. tmchomatis) 及び, Nesseria gonorrhoeae (以下N. gonorrhoeae) 感染症診断の検査材料を郵送により検査施設に送付して検査を実施することが可能か否かを検討するため, 郵送期間内における温度と日差変動の検査成績に及ぼす影響を検討した.
C. tmchomatis抗原およびN. gonorrhoeae抗原を4℃, 25℃ 及び37℃ に保存した材料を継日的にChlamydiazyme ®とGonozymeTMを用いて検査を行い, その成績を比較検討した結果, いずれの条件下でも抗原量, 保存温度において安定した成績が得られ, 吸光度の変動係数も10%前後と良好な成績が得られた.
郵送検体と直接搬送検体におけるクラミジア検査結果を比較するため, 1人の患者から2本のスワブを採取し, 1本を郵送法, 他の1本を直接搬送した. 133検体についてChlamydiazyme®で試験し, その結果を比較検討した. その結果, 両者の成績の一致率は96.2%, 陽性一致率100%, 陰性一致率95.5%と良好であった. 両者の吸光度の相関性をみると, 回帰直線Y=1.03X+0.03, 相関係数r=0.936と極めて良好な成績であった. 以上の成績より, C. tmchomtis及びN. gonorrhoeae感染症の診断のための検査材料は, 郵送法によって送付したものでも検査には支障はないと推察される.

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