感染症学雑誌
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北海道の狩猟者における抗Borrelia burgdorferi抗体の測定と, 抗体価に及ぼす因子の検討
久保 信彦荒島 康友川端 真人河野 均也中尾 稔宮本 健司
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1992 年 66 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

北海道の狩猟者587名の血清中の抗Borrelia burgdorferi (B.burgdorferi) 抗体を酵素抗体法で測定し, 狩猟者の抗体保有状況や, 抗体価におよぼす年齢, 生活歴など各種因子の影響を検討した.対照血清における抗B.burgdorferi抗体陽性率は7.1%で, 狩猟者では16.0%となった.梅毒血清反応が陽性の血清を除いた場合の抗B.burgdorferi抗体陽性率は, 対照では5.5%に対して, 狩猟者では15.4%となり, 狩猟者で有意に高かった (p<0.05).対照および狩猟者ともに抗B.burgdorferi抗体価は年齢が高い程, 陽性者が多く認められる傾向があったが, 相関はなく, 狩猟者の抗B.burgdorferi抗体価は狩猟歴とも相関しなかった.また狩猟者の職業では酪農業に従事するものに抗B.burgdorferi抗体価が高い傾向があった.山菜採りに行く者は行かないものと比較して有意に抗B.burgdorferi抗体陽性率が高かった (p<0.05), これらのことから狩猟者の抗体陽性率が高い理由として, 狩猟以外の野外活動の影響が大きいと考えられた.

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