感染症学雑誌
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抗体捕捉ELISAによるヒトパルボウイルスB19感染の血清診断
伝染性紅斑流行例の検索
松永 泰子山崎 修道森次 保雄桑原 靖西垣 正憲
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1992 年 66 巻 4 号 p. 434-440

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抄録

ヒトパルボウイルス感染症の血清学的診断のために, ELISA法について検討した.
HRPO標識抗B19モノクローナル抗体を用いたIgMおよびIgG抗体捕捉ELISAが可能となり, 手技が簡略化された. この方法で, 伝染性紅斑発病後経時的に得られた血清について検査し, dOD値を比較した. その結果, IgM, IgG抗体それぞれが発病後の経過につれて特徴的なカーブを示した. 看護学校生聞の伝染性紅斑の流行例の検索では, 1) 1, 5ヵ月間隔で得られた2本の血清を同時に測定することにより, 初発患者が推定できた. 2) 流行前にIgG抗体陽性の者は, 流行前後を通じてdOD値に変動が見られなかった. 3) 流行後も約30%の者が未感染に終わった. 等が判明した.
抗体捕捉ELISAは, ヒトパルボウイルス感染症の血清診断に有用と考えられる.

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