感染症学雑誌
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Azidothymidine (AZT) 投与患者から分離されたHuman Immunodeficiency Virus Type-1 (HIV-1) のAZT感受性に関する検討
斎藤 隆行近藤 真規子伊藤 章長尾 大今井 光信
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1993 年 67 巻 4 号 p. 311-314

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抄録

AZTの投与を受けていないHIV-1 (HIV) 感染者から分離したHIV3株とAZTの投与を受けている感染者2名から分離したHIV3株の計6株について, AZTに対する感受性を培養により検討した。
AZTの投与を受けていない感染者からの分離HIV2株 (005と038) は, AZTを含む (0.1μMあるいは1.0μM) 培養液中で巨細胞を形成する細胞変性効果 (CPE) は認められなかった。
一方, AZTの投与を受けている感染者からの分離株では, AZTの投与を開始してから2ヵ月の時点の分離HIV 043において, AZT 0.1μMを含む培養液中で強いCPEが観察された。さらに, AZT投与開始後6ヵ月と14ヵ月の時点での分離HIV (043-2と091) では, AZT1.0μMを含む培養液中でも強いCPEが観察された。
これらの培養上清中のHIVp24 (p24) 抗原をELISAにより測定した結果, CPEの認められなかった培養上清中には, p24抗原は検出されなかったが, CPEの認められた培養上清中にはp24抗原が検出された。
これらの結果から, AZTの投与を受けている感染者から分離したHIVの中には, AZT 1.0μMを含む培養液中でも増殖できるような耐性株が存在することが確認された。

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