感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
5℃でのPseudomonas pseudomalleiの生存状況
藪内 英子王 笠荒川 迪生矢野 郁也
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 67 巻 4 号 p. 331-335

詳細
抄録

P.aeruginosaP.cepaciaの基準株を対照とし, 由来の異なるP.pseudomallei 15菌株の5℃での生残能を調べた。各被検菌株は約106CFU/mlになるよう1/10濃度のtryptic soy brothに懸濁して5℃ に置き, 10日毎に生菌数を測定した。P.pseudomalleiの基準株を含む4菌株は70-110日目に検出不能になった。その他の菌株及び P. cepaciaの基準株は夫々160-190日又はそれ以上生存したが, 菌数は101-2個まで低下した。これに対しP.pseudomalleiのOklahoma株は P.aeruginosaの基準株と共に170日後にも105個を維持していた. これらの実験結果から, 5℃ での P.pseudomalleiの生残能は菌株によって著しく異なることが判明した。今回の実験結果と, フランス全土での動物メリオイドーシスの多発及びP. pseudomalleiによる土壌汚染の蔓延とを考え併せると, この菌種の生存域が熱帯地域に限られているという既存概念を修正しなければならない。日本での発病例は既に報告されており, この感染症に対する諸家の関心を高め, 早期診断及び環境汚染防止のための患者管理を徹底する必要がある。

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top